シュローダー・インベストメント・マネジメント エネルギー転換インフラ VS 分散型インフラ:ポートフォリオの配分をエネルギー転換に集中させる理由【寄稿】シュローダー・グリーンコート 、インフラストラクチャー部門グローバルヘッド ミナル・パテル氏
エネルギー転換インフラは、従来の分散型インフラ・ポートフォリオとの相関は極めて低く、魅力的な競争力を持ち、急速に進化するサブセクターへの差別化された投資機会を提供します。※本記事の執筆は2025年2月

ミナル・パテル(Minal Patel)
シュローダー・ グリーンコートインフラストラクチャー部門グローバルヘッド
2019年、シュローダー・グリーンコート入社。2014-2018年は、フォーサイト・グループに所属し、パートナーとして環境インフラチームを率いる。プロジェクトファイナンスの貸し手やアドバイザーとして再生エネルギー関連のキャリアを開始し、三菱UFJ銀行およびロイヤルバンク・オブ・スコットランドで約8年の経験を積む。サウサンプトン大学卒、数学・経済学士。
200年以上にわたり、世界経済はエネルギー需要を化石燃料に依存してきましたが、急速に変わりつつあります。再生可能エネルギーは、脱炭素化、手頃な価格、エネルギー安全保障のいわゆる「パワー・トリオ」によって推進され、将来の電力需要を満たす上で重要な要素になりつつあります。世界経済全体で電化とデジタル化が進行していることから、これらの需要は急速に拡大し続けており、再生可能エネルギーは、他に類を見ない魅力的な投資機会となる可能性があります。
歴史的には、脱炭素化への注力が、世界的な再生可能エネルギー拡大の主な原動力となってきました。しかし、欧州や中東における地政学的な変化を受け、各国政府はエネルギー安全保障に重点をおくようになりました。その結果、変化のペースは加速しています。一方、再生可能エネルギー源による電力価格が手頃になったことで、エネルギー調達の大幅な転換が技術的だけでなく、経済的にも実現可能となりました。
こうしたメガトレンドの収束は、エネルギー転換が投資家にとって数世代にわたる投資機会をもたらすことを示しています。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年初頭からエネルギー転換のために年間約4.5兆ドルを投資する必要があると推定しています。これは記録的な年となった2023年からほぼ3倍の増加です。この投資は世界規模で行われ、脱炭素で、低コストの安全な世界的エネルギーシステムの成長をほぼ全世界が支持しています。米国でも再生可能エネルギーへの投資は、長年にわたって幅広く、主に超党派の支持を得てきました。これは再生可能エネルギーセクターが、特に伝統的な共和党支持者が多い南部の多くの州で、雇用創出の重要な原動力となってきたためであり、再生可能エネルギーは、エネルギーコストの競争力をますます高めています。
にもかかわらず、「なぜエネルギー転換だけに投資するのか」という質問をよく受けます。この質問には、エネルギー転換資産だけでなく、公益、輸送、デジタル・インフラへのエクスポージャーを含む、より幅広いインフラストラクチャーへの投資は、より広範な機会を提供することができる、という前提を含んでいます。
投資家がオルタナティブ資産に配分できる割合は限られており、(シュローダーの調査によれば、平均でポートフォリオの約14%)、その価値を最大限に活用しなければならない希少なリソースであることを考えると、エネルギー転換への投資を最大化することは、高いパフォーマンスのポートフォリオの構築にとって極めて重要であると考えています。その理由は次の3つです:
②エネルギー投資はここ数年、インフラ市場の主要な構成要素であり、その優位性はますます高まっていること
③サステナビリティ・リスクから逃れることはできないこと
1.エネルギー転換インフラへの投資は、ポートフォリオで保有する他の全ての投資と比較して、非常に差別化されている
リスク/リターンのプロファイル
図1は、エネルギー転換インフラを、他の伝統的な上場およびプライベートの資産クラスと比較したもので、2014年から2024年までの年率リターンとリスク(ボラティリティ)を示しています。これによると、プライベート・エクイティが特筆すべき例外値であるものの、その他のプライベート資産が提供するリターンは、概ね上場株式とほぼ一致しているのに対し、ボラティリティは一般的に債券とより近いものとなっています。
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