年金資産運用・基礎の基礎 【プライベートアセット再整理】第1回:情報格差こそ収益の源泉〜有益な情報を独自に入手し、正しく価値判断できるかがカギ
連載4年目に入った2025年4月、新シリーズ【プライベートアセット再整理】がスタートしました。3年間担当いただいた金武伸治さんに代わって、今回から同じラッセル・インベストメントで主にプライベートアセットのコンサルタントを務める山浦厚能(やまうら・あつのり)さんに回答を担当していただきます。今回の第1回は、市場(パブリック)ではない所で取引される資産としての特徴などを説明してもらいます。プライベートアセットを再整理するにあたり、その「原理」から学んでいきます。
オルタナティブ=伝統資産の代替
改めまして山浦さん、よろしくお願いいたします。この連載のタイトルは「年金資産運用・基礎の基礎」ですので、一見当たり前のようなレベルからの解説を心がけています。さて、プライベート資産は大きな区分でいうと「オルタナティブ資産」に属すると思いますが、そもそもオルタナティブとは何でしょう。
山浦 了解しました。オルタナティブ投資といえば、かつてはもっぱらヘッジファンドを指していました。この戦略は、投資対象自体は株式や債券などの伝統的資産ですが、市場の上昇や下落に関係なく一定の利益を上げる「絶対リターン」を確保するのが狙いです。そのために、買い持ちだけでなく売り持ち、つまりショートポジションを取るという、従来の考え方とは異なる手法を採用しています。そこから、伝統資産に対する代替的位置づけとして「オルタナティブ」と呼ばれるようになりました。
市場「以外」で取引される資産群
このオルタナティブの中で、プライベートアセットはどういった位置付けになりますか。
山浦 プライベートアセットと呼ばれる資産群は、エクイティ(株式)、デット(企業向けローンなど)、インフラ、不動産と多岐にわたります。そして、プライベートアセットは、不特定多数の人間が集まって資金の貸借や有価証券の売買を行っている公開市場「以外」で取引を行っている資産群と定義されています。そのため、プライベートアセットは、日々取引可能なパブリックアセットよりも流動性が低いと認識されています。
この整理は一面としては正しいわけですが、同時にプライベートアセットにはパブリックアセットにはないリターン源泉やリスク管理手法があることも理解しておく必要があります。つまり、「パブリックの反対語」以上の固有の「何か」があるというわけです。
情報の非対称性に大きな価値
その「何か」とはなんですか。気になります。
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