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ドイツの賭け
債務ブレーキが緩められた

グローバルマーケット統括本部 副会長
チーフクレジットストラテジスト
チーフESGストラテジスト
中空 麻奈
景気低迷が続き現政権への反発が厳しさを増す中、ドイツでは2月23日に総選挙が行われた。結果は周知のとおり、オラフ・ショルツ首相率いるSPD(社会民主党)が大敗。最大野党会派の中道右派CDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)が第一党となり、二位はイーロン・マスク氏が猛烈に推した極右政党AfD(ドイツのための選択肢)という順で、これまでのドイツが総否定された格好だ。次期首相にはCDUのフリードリヒ・メルツ党首が決まった。
そのドイツで、3月18日、歴史的な大転換が決定された。ドイツ連邦議会において、国防費などの歳出拡大のために、財政規律を緩和する基本法の改正案を3分の2以上の多数で可決させたのである。いわゆる債務ブレーキの緩和を決定したことになる。
ドイツは財政規律を厳格に守り、それを欧州全体の礎にしたからこそ、規模も経済力も全然異なる地域をユーロ圏としてまとまりを持たせてこられたのではなかったか。それを変えてしまうことで、ドイツは復権するのかどうか。賭けに出たドイツの動向を見ていく。
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