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為替 今考える、スイスフランと円の違い。金利だけでは語れない通貨の動き
政策金利は日本≒スイスに

金融市場部
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔
2025年1月の日銀金融政策決定会合で政策金利が0.25%程度から0.5%程度へプラス25bp(ベーシスポイント)引き上げられた。実は今回の利上げを経て、日銀とスイス国立銀行(SNB)の政策金利は0.50%で並んだことになる。
当面を見据えれば、2025年中に逆転する展開も十分考えられる。マイナス金利同士で絶対値を競っていた時代を除けば、「日本の政策金利が先進国中で最低ではない」状況は稀有(けう)である。
しかし、政策金利水準が近似しても、金融政策の方向性および自国通貨に対する悩みの方向性は正反対だ。スイスフランは今次円安局面が始まった2022年3月以降、ほとんど全ての時間帯で先進国最強通貨の地位を維持していた。同局面ではドル高がクローズアップされていたが、スイスフランが負けていた時間帯はわずかである。
2022年1月初頭から2025年1月下旬までの名目実効為替相場(NEER。各国の物価の格差を考慮せず名目金額のみで比較した指標)の変化率を比較した場合、スイスフランはプラス11.4%上昇しているのに対し、円はマイナス17.9%下落している。
ちなみに過去30年間のイメージとして1995年初頭から足元の対ドルでのパフォーマンス(1995年1月3日~2025年1月31日)を測ってみるとスイスフランの約プラス44%に対し、円は約マイナス35%である。G7(主要7カ国首脳会議)加盟国の通貨に限って言えば、対スイスフランで取引して最も振れ幅が大きかった通貨が円だ。主要通貨同士でこれほど対照的な組み合わせは珍しい。
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