特区化のメリットは“その都市ならでは”の強化

日本総合研究所
次長/金融リサーチセンター主任研究員
野村 拓也
2001年4月に三井住友銀行入行・日本総合研究所調査部 マクロ経済研究センター、在米日本大使館財務班(ワシントンDC)、三井住友銀行経営企画部金融調査室(ニューヨーク)、経済同友会 政策調査部を経て、2020年4月より現職。専門分野は金融全般および内外マクロ経済。

2024年6月4日、金融庁は政府が掲げる資産運用立国実現プランにおける注目のマイルストーンの1つであった「金融・資産運用特区実現パッケージ」を公表した。これにより、いよいよ実現の道を歩み始めた日本への金融・資産運用特区だが、その後現在に至るまで目立った動きもなく、報道などで取り上げられる機会も少ないようだ。なぜだろうか。

振り返ってみると、6月のパッケージ公表当初、まずメディアで注目された点が、法人税をはじめとした国税の減免策が盛り込まれなかったことだ。ただし、効果的な税制優遇措置については日本では国民の理解がまだ広く得られていないなどの理由から実現は難しいのではという議論が前々からあったことを踏まえると、これは予想通りの結果とも言える。

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