8割はトレンドフォロー戦略を運用。集団行動が相場急変の引き金にも

高田将成氏

JPモルガン証券
クオンツストラテジスト
高田 将成
2021年9月よりクオンツストラテジストとしてJ.P.モルガン入社。定量的なトレーディングアイディアの立案、およびヘッジファンドの資金フロー解析を得意とする。九州大学農学部卒業、ロチェスター大学経営大学院修士号取得 (MBA in Finance)。

CTA(商品投資顧問)はヘッジファンドの一角を占めるいちアクティブプレイヤーにすぎないが、市場の急変時などにはしばしばその動向が取り上げられる。そんな彼らの注目度の半面、ほかの投資家からは「何をやっているのかよく分からない」との認識を持たれることも多く、未知のリスクをもたらすプレーヤーとして警戒される向きもある。そこで本稿では、3つのポイントを基に改めてCTAとは何者かを振り返ってみよう。

まず1つ目のポイントは、CTAは「テクニカル投資を追求する」こと。そもそもCTAという単語は、歴史的にはシカゴ商品取引所で商品先物取引を手掛ける投資家グループを指した。そのグループが商品先物取引で独自のノウハウを積み上げた結果、生まれたのが資産価格の動向だけを判断材料とする“テクニカル”な手法で短期投資を繰り返し、利益を獲得していく投資スタイルだ。中長期的な景気や経済の動向などを分析しながら投資を行うファンダメンタルズ投資家とは、いわば正反対のスタイルとも言え、これが現在CTAと呼ばれる投資家にも受け継がれているのだ。

現在、そんなCTAが採用する投資アプローチは様々あるが、およそ8割は「トレンドフォロー戦略」を手掛けているとのデータがある。これは、投資対象の市場価格データを分析し、足元の価格推移が上昇トレンドなのか下落トレンドなのかを明らかにし、そのトレンドに対して順張り投資を行う運用戦略のこと。ここで2つ目のポイントとなるのが、CTAは「投資判断を、コンピューターに委ねていること」だ。トレンドフォロー戦略であれば、トレンド分析・評価→投資実施の過程は、価格データを基にコンピューターが自動で処理する仕組みだ。

特にこの2つ目のポイントの部分で高度かつ複雑なデータ分析などが行われるため「未知の投資」を行っているイメージが持たれがちだが、CTAは言うなれば対象資産の市場価格の方向性に対して、純粋に順張り投資を行うというシンプルな行動をしていると理解できる。

ただし、注意しなければいけない点もある。それが「複数のCTAが同時に同じ投資行動を起こすケースが散見される」ことだ。これがCTAを理解するための3つ目のポイントになる。

CTAは長年、コンピューターによるトレンドの見極めと投資タイミングの最適化を進めてきた。問題は、最適化すればするほど再現性のある投資になってしまうこと、つまり「今が買い(売り)に最適」と判断されるタイミングが、複数のCTA間で一致してしまうのだ。そのため、多くのCTAが急に集団行動を起こし、短期的な相場の急変動を引き起こすケースがある。こうした短期のリスクを回避すべく、長期投資家もCTAの行動に一定の注意を払う価値があるだろう。

短期的な価格乖離は可能だがファンダメンタルズは無視できず

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