くすぶり続けた欧州の信用不安は外為市場を直撃した。一時ドル円は75円台、ユーロ円は101円台まで急落。日本の投資家や企業は、長期化する円高局面を「攻め」と「守り」に活かすべく、新たな為替戦略を探り始めた。市場はどう動いたのか。東京外国為替市場調査の結果を紹介する。(森重瑛美)
※各金融機関のコメントや通貨別ランキングなどは誌面に掲載。

事業法人部門票を伸ばしたモルガン・スタンレーMUFG

2010年後半から2011年夏にかけての東京外国為替市場は、中東革命や欧州危機、米国債格下げなど波乱のマーケットとなった。3月11日の東日本大震災後は、原発事故などの影響もあり一時は取引を危ぶむ声も出た。しかし、在邦金融機関の努力によって市場の動揺はまもなく沈静化。震災後に実施した東京外国為替市場委員会の調査によると、2011年4月の外国為替取引高は1営業日平均取引高は2846億ドルと前年同期間に比べて8%増加した。

円対ドルや円対ユーロ取引が減少する一方で、新興国通貨などその他通貨取引は増加。変動の激しい相場への注目度は高く、今回の調査には過去最高の797社・機関(前回比47社・機関増)が参加した。回答者の内訳は事業法人399、金融法人355、外国為替証拠金取引43。

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