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経済安全保障の観点から懸念される中台関係の行方
中国の軍事的けん制を早々に受けた頼政権
台湾で頼清徳総統が就任してからもうはや数カ月となるが、中台関係は頼政権になってさらに冷え込む傾向を示している。頼氏は民進党の蔡英文前政権で副総統を務めていたので、中国としても「頼政権になっても台湾の対中姿勢に大きな変化はない」と考えていただろうが、頼氏の就任演説は中国の強硬姿勢を決定付けることになった。
2024年5月20日の就任演説で、頼氏は「中華民国と(台湾)と中華人民共和国(中国)は互いに隷属しない」と主張したが、これは台湾統一のためには武力行使も辞さない構えに撤する中国の習政権にとっては到底受け入れられないものである。その後、中国は台湾本土を取り囲むように大規模な海上軍事演習を実施し、頼政権の台湾を早速軍事的にけん制した。
その後、7月になってからは、中国から数キロしか離れていない台湾の離島・金門島で、台湾漁船が中国海警局の巡視船によって拿捕され、漁船の乗組員6人が中国側の港に連行される事件が発生した。この周辺海域では4月に台湾当局に追跡されていた中国漁船が誤って転覆し、中国人2人が死亡する出来事が起こっており、今回の拿捕はそれに対する政治的報復との見方もある。
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