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年金運用におけるマルチアセット戦略の今後 低調続くマルチアセット戦略。資産配分通じたアルファ獲得に期待【Focus】市場の注目テーマを深掘り
低調続くマルチアセット戦略
内外株式が40%以上上昇した2023年度において、年金基金の運用は全体的に堅調となった。そうした中で低調なパフォーマンスから解約が目立ったのがマルチアセット(以下、MA)戦略だ。
本記事では、年金基金が採用する典型的なアクティブ型を念頭に、MA戦略の今後について展望する。なお、以下は、個人的な意見であり、組織を代表するものではない点に留意されたい。
最近の年金基金によるMA戦略の解約増加の背景はパフォーマンスの不芳だけが原因ではないと考えられる。年金基金自身が複数資産、つまりMAの運用主体であるため、MA戦略を運用するファンドには相応の付加価値が期待されるはずである。
その付加価値(期待役割)は主に次の3点にまとめられるだろう。
①年金ポートフォリオ全体の収益を上回る「絶対収益」(※)
②資産配分変更による「投資効率」改善
③株式や債券に対する下値抵抗力などの「低相関」
※MA戦略ファンドの絶対収益が、(機動的な資産配分変更は行わない)年金基金全体の目標収益率ならびに実績収益率を上回り、収益のけん引役となること。
年金基金がMA戦略に期待する役割が十分に果たされていないこと、不芳の原因説明が年金基金の納得を得られていないことが、解約の背景にあるのではないだろうか。
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