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好調米国の“落とし穴”
弱さの見えない米国経済指標
米国経済は好調である。株価も高いし、強い経済を反映してドル高も継続している。FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は金融緩和に転じるタイミングを見つけようとしているのに、CPI(消費者物価指数)だけでなく経済統計にも弱さが見えてこない。
米国の景気を異例の強さとしてイレギュラーに扱う投資家も増えているようだが、この見間違いは、①米国景気が本当に強くなっている(よって筆者の完全な見間違い)か、②経済統計に間違いがあるか、あるいは③これからリスクが顕在化してくるか、のどれかから起因しているはずである。
筆者の見間違いで①のシナリオであった、ということも十分にあり得るのだが、今回は先月の筆者の寄稿文「米国景気が強い謎」に続き、③についてのリスクの在処を再度見ていくことにする。
見間違う発射台
実質可処分所得が安定していることがある。図表1は欧州と米国の実質可処分所得の前年同期比である。
欧州の実質所得は堅調に増加する可能性があるが、対し米国は収束しつつある。とはいえ、労働市場のひっ迫とインフレ抑制により、実質個人所得が増加して見え、楽観的な消費行動に影響を与えている可能性がある。2024年の税金支払いが増加することにより、今後は税引き後のインフレ調整後所得の伸びのペースが緩やかなものになる公算が大きいものの、それでもプラスだという点は注目に値する。
つまり所得がある、ということになる。これが前回記事で指摘した超過貯蓄がなくなったとしても消費が続いていることの論拠になる可能性がある。
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