年金資産運用・基礎の基礎【実務編】 【ポートフォリオ構築のABC】第4回 資産クラスごとに運用戦略を構成〜リターン・リスク源泉の分散が肝要
【ポートフォリオ構築のABC】第3回では政策アセットミックスの策定方法について、また前回の「番外編」では株式と債券の相関関係が高まる近年の現象について、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに詳しく説明していただきました。第4回の今回は、政策アセットミックス構築の次の段階として、各資産クラスの運用戦略をどう構成していくのか、じっくり伺っていきます。
基本戦略はパッシブ運用
資産クラスごとに運用戦略を構成していくということですが、まず運用戦略そのものの説明からお願いできますか。
金武 了解しました。株式や債券といった各資産クラスには、その資産クラスの特徴を生かした多様な運用戦略が存在しています。【図表】に資産クラス別の主な運用戦略についてまとめました。
最も基本的な運用戦略はパッシブ運用となります。パッシブ運用とは、各資産クラスの政策ベンチマーク、つまりその資産クラスが前提や運用目標としている市場ベンチマークへの連動を目指す運用戦略です。
パッシブ運用以外には、政策ベンチマークをベンチマークとするアクティブ運用や、政策ベンチマークの一部のセクターや政策ベンチマークには含まれていないセクターを投資対象とする特化型運用などが含まれます。
具体的には、例えば外国株式資産クラスの政策ベンチマークがMSCI Kokusaiインデックスであったとして、それに対してバリュー投資の観点から超過リターンの獲得を目指すアクティブ運用がバリュー株運用戦略となります。また、MSCI Kokusaiインデックスには含まれていないエマージング株セクターを投資対象とするエマージング株運用戦略などもあります。そして、バリュー株運用戦略やグロース株運用戦略、またエマージング株運用戦略などに分散投資することにより、外国株式資産クラス全体として政策ベンチマーク・リターンを上回ることを目指すことになります。
資産クラス | 主な運用戦略 |
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株式 |
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債券 |
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ヘッジファンド |
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プライベートアセット |
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パッシブ・アクティブ比率まず決定
ここでのポイントはどういった点でしょう。
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