日本企業によるM&Aが活発化している。日本企業が海外企業を買収するIN-OUTや、国内企業同士のIN-INが伸びている背景は何か。関係者に聞いた。(工藤晋也)
買収ファイナンスの多様化で資金調達面のハードル下がる
M&A助言のレコフによると、2016年の日本企業が関係するM&Aの投資金額は16.7兆円と、過去最高だった1999年の18.0兆円に次ぐ水準となった(図表1)。投資件数は2652件と、リーマン・ショック前の2005年~2007年に記録した水準とそん色ない結果となった。対象企業別の投資金額では日本企業が海外企業を買収するIN-OUTが10.4兆円、投資件数では国内企業同士のIN-INが1818件と、それぞれ過半を占めた。
ここ数年、日本企業のM&Aが活況なのは、株主からの企業価値向上への期待感の高まりに加えて、低金利によって資金調達が容易になったこと、金融機関やM&A専門会社から情報を得やすくなったことがある。そのほかに日本政策投資銀行 執行役員企業戦略部長の山本貴之氏は、資金調達の選択肢の広がりも理由に挙げる(図表2)。「コーポレート・ローンに加えて、金融機関との共同投資や、PE(プライベート・エクイティ)の一種であるLBO(レバレッジド・バイアウト)やMBO(マネジメント・バイアウト)など、買収ファイナンスの多様化で資金調達面のハードルも下がっている」