J-MONEYカンファレンス「金利・為替変動時代に考える債券運用の新たな航路」 【トークセッション】今こそ、改めて知りたい‼ 債券運用「基礎の基礎」【出張版】
2023年11月30日、べルサール東京日本橋で、「金利・為替変動時代に考える債券運用の新たな航路」と題したJ-MONEYカンファレンスが開催された。金利や為替の行方が見通しづらい環境下で債券運用の先行きにも不透明感が漂う中、ヘッジ外債との向き合い方や金利・為替変動における注目点について議論が交わされた。当日のプログラムから「トークセッション」の概要をお伝えする。
外国債は「価格」、社債「利回り」。投資目的・役割を明確に
阿部 金武さんには先ほどの特別講演でヘッジ外債の全体的な投資意義を解説いただいたが、具体的に主要な債券資産ごとに投資目的や役割を整理してほしい。
金武 国内の企業年金が投資している債券全体を図表1 のように分類した。海外債券はいずれも為替ヘッジ付き。先ほどの特別講演の後段でご説明したように、米国をはじめとした海外の高金利状態はしばらく続く見通しだ。ヘッジコストは高止まりするので、ヘッジ外債は利回りが期待できない一方、金利低下余地、すなわち価格上昇は見込める。逆に国内債券は、金利水準自体は海外に比べて低いものの、純粋なキャリーロールダウンは現在、先進国ではトップクラスだ。
こういった状況を踏まえると、当面、海外国債の投資はキャピタル(価格)目的、海外のクレジットと国内債券はインカム(利回り)目的と整理できる。
なお、為替については動的管理など為替ヘッジ手法の効率化によって、ヘッジコストを低減する余地があると考えている。また、海外と違い、国内では社債などの発行量や流通量が少なく、特に切り出して議論するだけのボリュームがないため、国内は国内債券と一本化している。
阿部 国内債券に加えて、海外のクレジット債もインカム目的と整理している理由は。
金武 図表2 は、米国、ドイツ、日本3カ国の国債の利回りと、米国社債(BBB格)の利回りを期間1~ 10年で比較したものだ。左のグラフが為替ヘッジをかける前、右のグラフがヘッジ後となる。
米国社債はヘッジ前だと一番利回りが高く、ヘッジ後も日本国債と遜色ない水準となっている。しかし、社債にも当然、弱点はある。景気後退などによって、国債とのスプレッドが拡大するなど価格変動リスクは無視できない。
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