J-MONEYカンファレンス「金利・為替変動時代に考える債券運用の新たな航路」 【特別講演】高ヘッジコスト期におけるヘッジ外債の投資意義再考ヘッジ外債投資 再整理
2023年11月30日、べルサール東京日本橋で、「金利・為替変動時代に考える債券運用の新たな航路」と題したJ-MONEYカンファレンスが開催された。金利や為替の行方が見通しづらい環境下で債券運用の先行きにも不透明感が漂う中、ヘッジ外債との向き合い方や金利・為替変動における注目点について議論が交わされた。当日のプログラムから、「特別講演」の概要をお伝えする。
債券リターンは本来「利回り」。今後は「価格」にも注目
2022 年初頭からの米国をはじめとした急激な金利上昇で、多くの企業年金が保有する外国債券のパフォーマンスが悪化している。とりわけ日米の金利差拡大を背景に為替ヘッジ付き外債が大きな損失を被っており、私どもコンサルタントに「どう対応したらよいのか」という問い合わせが多く寄せられている。本日は、こうした高ヘッジコスト期においてヘッジ外債の運用をどう考えるべきなのか、再整理する。
まず、債券投資における本来的なリターン源泉は何かを確認したい。図表1は米国国債と米国投資適格社債の2003年以降の累積リターンを要因分解したものだ。面積の過半を占める水色の部分がクーポン(利回り)、ごくわずかのオレンジ色がプライス(価格)、濃い青色の折れ線がトータルのリターンを示している。リターン源泉のほとんどがクーポンからなのが一目瞭然だ。
しかし2022年度の債券価格の下落(金利上昇)や、今後想定される景気後退(金利低下)の可能性を考えると、今後2~ 3 年の中期的レンジでは①2022 年度の損失の部分的なリカバリー②株式との分散──といった観点から、あえて債券の「価格リターン」にも注目したい。また、のちほど詳しく述べるが、企業年金にとって大きな負担となっている為替ヘッジをどうするかについても考えたい。
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