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知りたい!隣の企業年金・第19回 ノーリツ企業年金基金――自らの相場感で動的に資産運用〜生保時代の知見で年金と市場の今後見据える
往年のヒット商品「能率風呂」で知られる給湯器分野の大手、ノーリツ(神戸市)のノーリツ企業年金基金を訪ねました。生命保険会社から同基金に移って10年目の岩科清(いわしな・きよし)常務理事・運用執行理事は、生保時代から一貫して資産運用畑を歩みました。その知見に裏付けられた相場感で、マーケットに積極的に関与する動的な資産運用を信条とされています。
ノーリツ企業年金基金の概要
- 所在地/兵庫県明石市二見町
- 設立年月/2004年4月(厚生年金及び代行返上による基金設立)
- ①資産総額:226億円
- ②加入者数:2289人
- ③受給者数:744人
- ④予定利率:2.0%
- ⑤期待運用収益率:3.0%
- ⑥収益率の実績(時間加重収益率)
- (いずれも2023年3月末現在)
- ⑥収益率の実績(時間加重収益率)
- 2020~2022年度:平均:4.14%
- 2023年度:6.76%(4月〜10月)
政策アセットミックスに柔軟性
色々な企業年金を取材させていただきましたが、政策アセットミックスと実際のポートフォリオの資産配分がこれだけ乖離しているのは初めて見ました。まず【図表1】が現行の政策アセットミックスですよね。
【図表1】ノーリツ企業年金基金の政策アセットミックス
岩科 許容幅を大きく設定しているため、直近のポートフォリオも基準内ではあります。アセットミックスの中心値には、短期的に大きく制約されずにすむ形になっています。
そして【図表2】が実際のポートフォリオ構成ということです。いくつか驚くことがあって、アセットミックスは国内債券と株式の合計で42%と、かなり国内アセットの比率が高い。一方で、実際のポートフォリオでは国内債券が5.8%、国内株式にいたってはわずか0.6%です。その分、外国債券、外国株式がかなり多い。アセットミックスで2.0%となっている短期資産が、実際には13.0%と二桁になっているのも特徴的だと思います。
【図表2】実際のポートフォリオ構成(2023年3月末)
岩科 もちろん政策アセットミックスは、財政再計算などを経て当基金として目指すべきリターンやリスクの水準を基に作成したものですから、指針というべき存在です。ただ、私自身はアセットミックスという枠に短期的にはこだわっていません。
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