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ユーロ圏経済見通し──冴えないながらも景気後退は回避
欧州の経済状況はまだら模様
先日参加したあるセミナーでのこと。「2024年の投資価値が高いのは?」という問いに対して、ワースト1位、2位に輝いたのが中国と欧州だった。不動産問題から脱せられず景気改善に自信が持てない中国が0%、欧州も数%とほとんど支持されなかった。欧州はもともと「わかりにくい」、「馴染みがない」という印象を持たれており、米国や中国と比べて国内メディアの報道も限定的なこともあり、投資対象としても注目されない傾向があるのは事実だ。
しかし、ユーロ圏(20カ国)の経済規模は、2023年の第二四半期のGDP(国内総生産)が3.6兆ドルと大きい(出所:Eurostat)。また、2022年1月現在のユーロ圏の人口は約3.5億人(出所:ジェトロ)となっている。人口が多いことがクレジット投資の安定性・成長性を支えることがわかっている以上、無視はできない。そこで今回は、ユーロ圏経済の現状を見ていくことにする。
第3四半期GDPの速報値によると、ユーロ圏経済は前期比0.1%の小幅なマイナス成長となり、横ばいというコンセンサス対比でわずかに下回った(図表1)。概況として経済の停滞が続いている状態と考えられる。なお、主要4カ国の第3四半期の前期比成長率は0.0%。好調なのはスペイン、フランスだが、両国とも成長は鈍化傾向だ。また、イタリアの景気は回復せず、ドイツ経済はやや縮小している。ドイツの第1、第2四半期の成長率が0.1%ポイントずつ上方修正されたこともあり、従来比でドイツの景気は堅調であった可能性もある。いずれにせよ、国別にまだら模様となっている。
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