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ジェイミー・ダイモンはかく語りき
枯渇しつつある米国の余剰資金
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO。かつて私がJPモルガンに所属していた際に、「リスク管理とはこういうものなのだ」と身をもって見せられたことがあり、それ以来、彼の発言は常に重視している。
2023年第1四半期の決算時には、彼は「暗雲立ち込める経済に注視しろ」と促したが、同第2四半期の際には「注意は必要だが好調」と転じた。第3四半期決算は10月13日に発表したばかりだが、この時の彼の語りは、次の通り8つのポイントへの言及を通じて、リスクの指摘に再びウエートが移ったように思われる。
「現在、米国の消費者と企業は概して健全。だが、①余剰資金は使い果たしている。②持続的な労働市場のひっ迫と③極めて高い水準の政府債務が、④高止まりするインフレとさらに上昇する金利下で、リスクを増大化させている。そもそも⑤金利上昇に関する定量的な長期的影響についてわかっていない。さらに、⑥イスラエル攻撃によりウクライナ戦争がさらに悪化し、広範囲に影響を与える可能性もある。⑦エネルギーと食品市場、世界貿易、地政学的関係への影響など。ここ数十年で⑧もっとも危険な時期、なのかも知れない」(意訳と数字付与は筆者)
ホットな話題としては地政学的リスクだが、これは専門家の意見を待ちたい。米国が少しずつ悪化傾向にあるのではないか、という疑念を筆者は持っているのだが、ここでは、上記①の余剰資金の枯渇について取り上げ、米国の今後について考えてみたい。
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