企業年金の資産運用にとっての「主食」は債券で、なかでも為替ヘッジ付きの外国債券はいわば「主力打者」でした。ところが昨今、ヘッジに伴うコストが上昇して「飛距離」である利回りが大きく落ち込み、企業年金の担当者を悩ませています。そこで、【もっと知りたい!債券】シリーズ最終回の今回は、為替ヘッジの仕組みやヘッジコストの要因をラッセル・インベストメントの金武伸治さんに説明いただき、どういった点に注目すべきか考えていきます。

為替予約レートは「割高」

昨年2022年5月に公開した【債券編・第3回】「なぜ米国債に多く投資?」の中でも少しご説明いただきましたが、改めて為替ヘッジとはどういう仕組みなのか。また、ヘッジコストはどのような要因から発生するのか整理していただけますか。

金武 為替ヘッジとは、あらかじめ一定期間先の為替レートを予約して固定する、つまり「為替予約」をすることで、為替変動リスクを抑制するというものです。ただし為替予約レートは、現在の為替レートよりもやや割高になります。その理由は後ほどご説明します。この現在の為替レートとの差のことを「為替ヘッジコスト」(以下、ヘッジコスト)と呼びます。

現在の為替レートよりも為替予約レートが割高なことから、一定の損失が発生します。例えば現在の為替レートが100円の時に、為替予約レートが98円であれば、100円に対して2円、つまり2%相当の損失が確定するわけです。このため、例えば利回りが3%の外国債券に2%のヘッジコストで為替ヘッジを行った場合、手取りの利回りは1%(3%-2%)になるわけです。

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