1年が経った米国による先端半導体の輸出規制を振り返る
日本やオランダを巻き込み米中の対立が進む
最近、米国のバイデン政権が中国への先端半導体輸出規制をさらに強化する方針が明らかになった。これまでのメディア報道によると、米国は半導体製造装置で対中規制を始めた日本やオランダに足並みを揃える形で、米国が規制していなかった品目を新たに規制対象に盛り込み、AI半導体のより性能の低い製品の輸出も規制する方針だという。
米国としては、中国による先端半導体の軍事転用を防止するため、現状規制の抜け道を防ぐ狙いがある。しかし、2023年11月にはバイデン大統領と習国家主席の対面会談も予定されており、対立を煽らないよう同会談後に規制拡大が発表される可能性もある。
バイデン政権が、中国向けの先端半導体輸出規制を発表してから2023年10月でちょうど1年となる。この1年間、先端半導体を巡って米中だけでなく、日本やオランダなど第三国を巻き込む形で覇権競争がエスカレートしてきた。
バイデン政権は2023年1月、訪米した日本とオランダの指導者に対し、軍の近代化を推し進める中国によって先端半導体が軍事転用されるリスクを回避するため、足並みを揃えるよう呼び掛けた。特に、中国による軍事的脅威に直面する日本としては、中国軍のハイテク化は日本の安全保障を現実的に脅かす可能性があるため、米国に対して異議を伝えることは事実上できなかった。
そして、日本は2023年3月、米主導の半導体輸出規制に同調することを発表し、同年7月下旬から14ナノメートル幅以下の先端半導体に必要な製造装置、繊細な回路パターンを基板に記録する露光装置、洗浄・検査に用いる装備など23品目で対中輸出規制を開始した。
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