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中国不動産問題のリスクはどの程度か?
レッドライン設定が不動産バブル崩壊の発端に
中国の不動産問題が再燃している。中国恒大グループが約5800億元の赤字で債務超過に転落し、アメリカで破産申請をしたのが8月17日。碧桂園は販売低迷とプロジェクトの評価損の拡大が止まらず、経営不安が続き、9月3日に私募債780億円の償還3年延長が発表された。不動産大手に関する個人保有の信託の一部が償還停止にもなるなど影響が広がっている。
一連のニュースを見るにつけ、中国不動産問題の深刻さを感じる。今後中国リスクをどの程度見ておく必要があるかは整理しておくべきポイントと言えよう。
振り返ると2020年夏、中国人民銀行(PBoC)が不動産大手の財務状況の監視を強化したことが発端である。新型コロナウイルス禍で世界景気が大幅に落ち込む中、中国は財政政策に舵を切るのではなく、自国の構造改革に着手し、中国不動産大手に対して「3つのレッドライン」という財務指針を設定。①総資産に対する負債の比率が70%以下、②自己資本に対する負債比率が100%以下、③短期負債を上回る現金を保有している――という条件を満たさなければ経営に足枷がかかることになった。
しかし、すべてのレッドラインを死守できた企業は少なく、不動産セクターのテコ入れが始まった。不動産バブル下の中国では怒涛の開発ラッシュが続いていたが、このテコ入れを契機に買い手がつかなくなり、開発がストップ。かつ不動産評価が一気に下がったことにより、さらに経営を圧迫するという負のサイクルに陥ったのである。
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