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中国経済のダブル・デフレと日本化のリスク
中国が直面する「ダブル・デフレ」のリスク
中国では、景気情勢の悪化への懸念が強まっている。それとともに、物価の下落と不動産価格の下落とが同時進行する「ダブル・デフレ」の懸念が高まってきているように見える。それはバブル崩壊後の1990年代の日本経済の長期低迷と重なる、との見方もあり、「中国の日本化(ジャパナイゼーション)」も議論され始めている。
中国国家統計局が8月9日に発表した7月消費者物価指数は前年同月比でマイナス0.3%と、2年5カ月ぶりにマイナスに転じた。また、国家統計局が8月16日に発表した7月の主要70都市の新築住宅価格動向では、7割の都市で価格は前月の水準を下回り、各都市平均の下落率は0.23%に拡大した。
こうした物価上昇率の低迷と不動産価格の下落は、景気の減速傾向と並行して生じている。7月17日に発表された4-6月期の実質GDPは前期比プラス0.8%、年率換算で3%強と、成長率が大きく鈍化している。2023年の政府目標である「5.0%前後」の達成にも黄色信号が灯っており、達成できなければ2年連続となる。
中国経済は昨年末のゼロコロナ政策の終了によって一度回復軌道に入ったが、長続きしなかった。不動産不況が続く中、個人は新規の住宅購入に慎重であり、それが市況の下落を長引かせている。また、若年層を中心に雇用情勢も悪化した状態が続いており、ゼロコロナ政策の後遺症は予想以上に深刻だ。
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