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企業債務が起点となる米国の経済・金融危機
米国の企業債務は歴史的な水準に
米国では、歴史的なペースで金融引き締め策が実施されてきたが、米国経済はなお失速を免れている。金融引き締めの影響がまず金利に敏感な個人の住宅投資、自動車購入の悪化をもたらし、その影響が経済全体に波及するかたちで景気が後退に陥るという過去の経験則は成り立っていないようにみえる。
それには、個人債務の状況が大きく影響しているだろう。2008年のリーマン・ショック前は、個人債務のGDP比率は急速に低下していった(図表1)。
個人の経済活動が金利上昇に対する抵抗力を強めたのは、債務の抑制がかなり進み、金利が上昇しても利払い負担が従来ほど高まらなくなったためだ。その結果、住宅ローンや住宅モーゲージ担保証券(RMBS)、自動車ローンなど個人の債務にかかわる金融の問題も深刻化していない。
【図表1】米国企業・家計債務サイクルと経済・金融情勢
そうした個人の債務環境と対照的に、リーマンショック後に急増したのが企業の債務だ。そのGDP比率は1980年代から横ばいで推移してきたが、過去数年は歴史的な高水準に達した。
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