各地の企業年金を訪問して資産運用の現状や課題を伺うシリーズ。今回は大阪ガスを訪ねました。同社は会社本体が資産運用する規約型の年金です。財務部ファイナンスチームで、年金運用に携わって14年目になる橋詰裕之(はしづめ・ひろゆき)さんに、運用の実際や考え方などをお聞きしました。

橋詰裕之氏

大阪ガス外観
1933年(昭和8年)の創建当時と変わらない外観のガスビルと橋詰さん

大阪ガスの企業年金の概要

  • 所在地/大阪市中央区平野町
  • 資産総額/3637億円(連結ベース)
  • 大阪ガスは単体で年金資産を運用しており、金額は上記総額の内数。加入者数、予定利率などは非公表
    (2022年3月現在)

年金債務額に連動

大阪ガスをはじめ、基幹産業の企業年金に規約型が多いような気がします。また、規約型の企業年金の資産運用は非常に保守的なイメージがあります。しかし、大阪ガスの企業年金は「守り」がしっかりしているだけでなく、「攻め」も相当なレベルという評判です。

橋詰 守りの面では現在、「城の堀は深く、城壁もできるだけ高く」という運用を心がけています。しかし、これは2008年のリーマン・ショックの教訓からです。

具体的には?

橋詰 年金資産をほぼすべて、何らかの商品に投資するフルインベストの状態でした。それが、大きなショックによって株や不動産などの価格が大幅に下落したのを契機に、「市場が過熱している際にリスクを取り過ぎないようにしよう」とリスク管理を強化。投資額に上限を設けることにしたのです。

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