ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、日本の機関投資家に「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資は超過リターンの獲得に有効」と呼びかける。実践のポイントを含めて、同社のESG関連の担当者に聞いた。(取材日:2019年12月6日)

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ
アジア太平洋ヘッド ファブリス・シェムニー氏(写真左)
CSR及びESGヘッド ハラルド・ウォルコテ氏(写真右)

日本のESG投資の現状をどう見るか。

シェムニー 環境問題の報道が増えた影響もあって、ここ2年ほどで真剣さが増した印象だ。我々のセミナーでも、機関投資家から詳細な質問を受けるようになった。

「ESG投資はリターンを犠牲にして社会貢献する」という認識が根強い。

ウォルコテ ESG投資から超過リターンを得ることはできる。しかし、誰もができることではない。可能なのは、①超過リターンを得られるとの確信をもち、②説明力の高い投資を行え、③データへのアクセスとその分析力を備え、④必要な専門知識と経験を有する――との4条件を満たした投資家と考える。

シェムニー 我々は、ESGという名称が広まっていない30年前から、投資対象企業の選定において、環境対策や社会的責任に関するスタンス、コーポレートガバナンスなどを重視してきた。日本でも、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESGに熱心に取り組んでおり、機関投資家や企業経営者の世代交代も相まって、今後はますますESG投資が浸透していくと期待している。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのESG投資の特徴は。

ウォルコテ ESG投資や社会的責任投資で実績のあるグループ会社「ミローバ」などのリサーチ力を活用している。現在、当社の全運用戦略の89%でESG観点の銘柄選択を実施している。例えば、グローバル株式戦略では、ESGタイプのファンドのほうがそうでないファンドより運用実績が優れている。

日本の機関投資家へメッセージを。

シェムニー 企業を非財務面からもリサーチするESG投資は、投資リスクを考える新たな視点となるだろう。

ウォルコテ ESGはリスクマネジメントを向上できるツールだ。我々はアセットオーナーと価値観を共有しながら、顧客にとって効果的なESGの運用戦略を提供していく。