大企業によるESGへの取り組みが活発化しているが、株式市場の今後のけん引役となるIPO(新規株式公開)企業の取り組みはどうなのか。IPO企業のESG評価の分析結果を紹介する。
米国では、社会的便益も求める新しい企業形態が広がる
世界的にESG投資の大潮流が押し寄せている。ESG投資とは、環境、社会、ガバナンスに対する企業の取り組み状況に基づいて投資対象を選別する投資のこと。以前は社会的責任投資とも呼ばれていた。そのルーツは1920年代まで遡り、ギャンブルなど教会の資産運用において教義に則さない事業をしている企業への投資は行わない、宗教的な考え方が根底にある。
しかし、現在のESG投資は宗教的というよりは、長期的に優れたパフォーマンスを求めるための投資手法として認知されつつある。理由としては企業社会を取り巻く次のような社会的変化が考えられる。
◎企業の外部性が高まっている。すなわち、企業と自然環境や社会との相互依存関係が高まり、それらが企業価値に影響を与えるようになっている。その相互依存関係をESG情報から知ることができる。
◎企業価値においてガバナンスの影響が大きくなっている。経済の変化の速度や不確実性が増している環境のもと、企業の意思決定の質に大きな影響を与えるガバナンス構造は企業価値にインパクトをもたらす重大な要因である。
以上のような変化の背景には、資本主義そのものに内在する問題があるのではないか。産業革命以降、企業を中心とした資本主義社会は未曽有の成長を遂げてきた。一方、負の側面も顕在化しており、貧富の格差や環境破壊は限界に達していると危惧されている。
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