急速に進むインフラ投資や旺盛な個人消費に支えられ急成長を遂げるアジア。投資家の注目度の高さと比例するように、投資マネーが流入している。欧州や米国の政治リスクが落ち着きつつあるいま、アジア経済の魅力を検証する。(中澤智弥)
(記事内容は2017年6月30日時点のもの)
安価で豊富な労働力が直接投資を呼び込む
世界経済が緩やかな回復基調を見せるなか、とりわけ投資家の熱い視線を集めるのがアジアだ。日経アジア300指数を見ると、2015年12月の算出開始以来、日経平均株価やS&P500種株価指数など主要な株価指数を上回る水準で推移している。
アジアに注目が集まる理由について、ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究員の斉藤誠氏は、「アジア諸国の安価で豊富な労働力は、生産拠点として海外からの投資を呼び込む。加えて、中間所得層が増加することで、消費市場としての魅力も増している」と語る。
日興アセットマネジメント アジアリミテッドシニア・ポートフォリオ・マネージャーのケネス・タン氏は、好調なアジア経済の原動力として「海外直接投資」を挙げる。「世界の工場として海外企業の生産拠点を請け負ってきた中国では、国内の賃金上昇が著しい。そのため、中国に拠点を置く日本をはじめとした外資系企業や地元の中国企業の投資先が、中国以外のアジア諸国に向き始めている」(タン氏)。
企業が生産拠点として進出先を選ぶ際、決め手はどのような点なのか。斉藤氏は、「自国での生産コストより安価であるか、ある程度の生産規模を担える労働力があるかがポイントになる」と話す。
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