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為替 2017年の「適温相場」との類似点。ドル円は111〜112円を高値に軟化
ドル安と円安の綱引き状態
2021年3月に一時1ドル=110.97円まで急騰したドル円は、同年4月に入って失速した。円安地合いは続いているが、ドルが下落に転じたためだ。量的緩和の縮小(テーパリング)が確実視され、米国の対外金利差拡大によるドル高期待は根強いものの、ドルの名目実効相場は2018年5月以来の安値圏まで反落している。今後のドル円も、円安とドル安の綱引きとなりそうだ。
円安に関して言えば、まだしばらく続く見込みだ。物価安定目標へのこだわりもあって、日本銀行の異次元緩和姿勢が揺らぐことはなかろう。新型コロナウイルス禍が収束に向かうにつれ、追加的に上乗せされてきたほかの先進国の緩和が除去されていく中で、金融政策の内外格差の拡大が円安期待を後押ししよう。
一方で、ドル安材料も多い。ドルの市場流動性はかつてないほど潤沢だ。世界経済の正常化を見据えたリスク選好地合いも、調達通貨となるドルの下落要因だ。何よりもドル金利の低迷が大きい。拡大傾向にある米国の経常赤字から生じるドル安圧力を跳ね返すのに、現在の長期金利では不十分とみられる。
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