新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、地域金融機関は貸出業務でそのプレゼンスを大きく高めている。現状と課題を解説する。
信用保証協会の保証付きの「制度融資」が後押し
新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の経済が急速に落ち込んでおり、その余波は地域金融機関の経営にも変化を与えている。真っ先に挙げられる変化は本業の貸出業務においてである。
国内銀行の月次貸出残高をみると、2016年半ばから2020年3月まで前年同月対比2%前後の増加率で推移していたが、4月は4.0%増、5月は6.4%増、6月は6.8%増とその伸びは加速している。緊急事態の宣言以降、資金繰りに窮する事業者の借入ニーズに積極的に応じている銀行の姿がみてとれる。融資の急伸にはコロナ関連の制度融資が果たした役割が大きい。自治体によって多少の差異はあるが、制度融資の特徴は、実質無利子・無担保、返済までの長期の据置期間、保証料の減免・免除などといった点であり、借り手にとっては負担がかなり軽減され、貸し手にとっても、信用保証協会の保証が付いているため、幅広い資金需要に迅速に対応しやすい内容となっている。公的スキームを活用した、借り手が借りやすく、貸し手が貸しやすい内容が貸出金残高の急激な増加を後押ししたと言える。
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