「不安心理」が広げるセカンダリーの好機。プライベート市場の次の潮目を米ハーバーベスト・パートナーズCEOに聞く
プライベートクレジット市場では、一部の借り手企業の経営不安やAI関連投資の再評価をめぐる懸念が広がっている。プライベートエクイティ(PE)市場でも、ファンドレイズの鈍化や資金流動性の制約が世界的に意識される局面が続く。一方で、需給のひずみがセカンダリー(流通)市場の投資機会を逆に広げる兆しも見え始めた。プライベート市場の次のフェーズを、機関投資家はどう読み解くべきか。プライベート市場で40年超の運用実績を持ち、運用資産1,610億ドル(2025年12月末時点)を擁する米ハーバーベスト・パートナーズのジョン・M・トゥーミーCEOに話を聞いた。

CEO
ジョン・M・トゥーミー氏
個別事象を「全体の不安」へ広げる見方は行き過ぎ
プライベートクレジット市場に対する機関投資家の警戒感が広がっている。市場の現状をどう見ているか。
トゥーミー いかなる市場も一括りには論じられない。上場株市場で「好業績を持続させる企業とそうでない企業とが併存する」のと同じ構図が、プライベート市場にも当てはまる。
たしかにプライベートクレジット市場でも、引受基準を緩めたマネージャーが存在する。他方で、規律を保ち、業種と地域の分散を効かせてリスク管理を徹底してきたマネージャーも多くいることは忘れてはいけない。直近10年で、レバレッジドファイナンスは銀行融資中心から機関投資家マネー中心へと構造的にシフトした。これは一過性のトレンドではなく、金融仲介機能の長期的な再編であり、規律を保つマネージャーにとっては引き続き魅力的な投資機会であり続ける。
個別企業や個別ファンドレベルでのデフォルト事例は、いかなる資産クラスでも常に発生してきた。だからこそ、市場を網羅的に理解し、業種と地域での分散を徹底できるマネージャーと組むことの重要性が改めて問われる。
昨年ごろから一部の借り手企業の信用悪化も話題に上っているが、現時点でシステミックなリスクだとは考えていない。問題は特定の個別与信、あるいは特定の業種におけるリレーティング(再格付け)や収益構造の変化に集中しており、その多くはAI関連の動きに連動している。
マネージャーが適切にポートフォリオを構築し、とりわけAIの進化から影響を受けやすい業種以外にも分散させてきたのであれば、ポートフォリオの大部分は健全に保たれているはずだ。市場には現在、「一つや二つの個別与信、あるいは一つの業種で起きていることが、ポートフォリオ全体に広がるのではないか」という不安心理が見られる。だが、これは少々行き過ぎだ。そうした感情に押された売却ニーズが、活発なセカンダリー市場の地合いを逆説的に生み出している側面がある。
プライベートエクイティ市場の現状についてはどう見ているか。
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