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債券 投資家は米国政策への対応急ぐ。景気減速でヘッジ外債復活へ
利下げや減税という「二の矢」

執行役員 運用戦略部長(債券担当)
ポートフォリオ戦略室長 シニア・インベストメント・ストラテジスト
荒磯 亘
トランプ政権が元気だ。第一期政権時を上回るペースと規模の政策を繰り出しており、政策で世界秩序を変えんとする勢いを感じる。これまで勝ち組と思ってきたポートフォリオ戦略も見直しを強いられる可能性がある。
米国は、2020年3月のコロナ・ショック時には流動性供給と金融緩和という危機対応を鮮やかに打ち出した。しかし今回は、当局側から金融市場の乱高下を抑えにいく気配もなく、事態の沈静化はトランプ大統領頼みであった。加えて、2025年の経済成長率は多くの先進国で1%台の低水準が予想されている。金融市場は、不透明な政策と脆弱な経済環境を素直に反映したパフォーマンスに留まる可能性が高そうだ。クレジット投資は低成長に強いため、債券を積極的に活用すべき局面が訪れたとみている。
足元の米政府は、関税導入によって新たな税収を確保したと国内向けにメッセージングしている。さらに、政府機関の縮小や国際的な人道支援活動の縮小など、政府活動のコストカットにも熱心だ。背景には、2025年末に多くの項目が期限切れとなるトランプ減税の恒久化のための財源確保が念頭にあろう。
関税政策は、輸入物価上昇のみならず便乗値上げを含めた物価上昇を招くとみられ、設備投資や個人消費は減速に向かう可能性が高い。しかし、利下げや減税という「二の矢」を考慮すれば、金融政策や財政政策等の対応手段を持たない国よりも米国が有利に見える局面も想定すべきだろう。
MBSや投資適格社債も有望
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