来週を考える|The Week Ahead 「ソフトランディング」から厳しい現実へ2025年4月4日(金)配信号
目まぐるしく激しいスタートを切った4月は、トランプ大統領の関税政策がこれまで以上に影を落とすことになりそうです。世界経済と資本市場で不確実性が高まる一方、貿易関税は世界の成長エンジンの働きを阻害し、あらゆる人々の生活コストを押し上げます。
それでも、バンク・オブ・アメリカのファンドマネジャー調査によれば、市場ではいまだに、「ソフトランディング」シナリオが主流のようです。このシナリオは、インフレを回避し、リセッションを引き起こすことなく金利引き下げを可能にする程度に成長が抑制されるというものです。しかし実際には、「ソフトランディング」は厳しい現実と向き合わなければならなくなっています。全体的な経済成長とインフレの動きはますます弱くなっています。米国の外交政策の前例のない転換は、世界秩序の容赦ない崩壊を加速させており、中期的に世界経済にかなりの下振れリスクをもたらします。特に米国では、亀裂が表面化し始めています。輸入関税の予測不能性は脱グローバル化のペースを早め、世界全体の成長低下につながりかねません。それだけでなく、輸入関税は実質的な消費税であり、インフレ(期待)を煽り、(米国の)消費者に打撃を与えています。後者はすでに、消費意欲の急激な低下として表れつつあります。
同時に、財政安定化に対する長期的なリスクも高まっています。米議会予算局の予測によると、赤字が続いているプライマリーバランスと金利負担の増大は、中期的に米国の連邦財政赤字をさらに押し上げる見込みです。金利が上昇し、公的債務の利払いと経済成長の差が拡大すれば、米国の財政赤字がさらに早いペースで膨らむ危険があります。
「平和の配当」の終焉は、他の国々にとっても明るい兆しとは言えません。「平和の配当」とは、軍事費を減らし、福祉予算を増やす傾向を指します。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の大半はまだ、新たな防衛費目標として予想される、国内総生産(GDP)比3%以上の達成にほど遠い状態にあります。ドイツが最近、厳格な借入制限の緩和を承認したのも、これが一因となっています。その一方で、追加的な政府債務に対する需要が生じたことは債券利回りに影響を与えており、建設業などの他のセクターで、クラウディングアウト(締め出し)効果が生じる可能性が高まっています。
新たに発足したドイツの政権も、平和の配当が長年にわたり空費されてきたという厳しい現実を突き付けられています。そして、債務を抑制するという公約を破り、数十年にわたって不足していたインフラと防衛への投資を埋め合わせる意向を示しています。ちなみに、ドイツが現在必要としているのは供給サイドの戦略ですが、新政権は需要喚起をベースにした財政政策を追求しています。連立への参加が見込まれる政党は、イースターまでに連立協定案を提示しようとしており、最終的にどのような内容で合意するかが興味深いところです。
各国の状況はまちまちですが、弊社のマクロ・インフレ指数がここ数カ月上昇し続けていることに示されるように、根強い景気循環的なインフレの兆候が世界的に強まっています。原油価格の下落により、今後数カ月のヘッドラインインフレは抑制されるかもしれませんが、ディスインフレ傾向が続くかどうかは、世界のGDP成長率が潜在成長率を下回り、労働市場の緩和が徐々に進むかどうかにかかっています。後者は、主にユーロ圏のほか、米国などの地域でも見られます。対照的に投資家は、貿易関税の引き上げや労働力の供給への悪影響など、トランポノミクスのインフレ効果に引き続き警戒する必要があります。この点に関して、トランプ政権による不法移民の大量強制送還が労働市場に悪影響を与えることは避けられないでしょう。
資本市場も、経済の混乱の打撃を受けています。結果として米国とユーロ圏で債券利回りが上昇しているだけでなく、米株式市場と欧州株式市場のパフォーマンスの乖離が加速しています。1月と2月に拡大したこのパフォーマンスの差は、3月にはいっそう顕著になりました。この動向の背景には、さまざまな要因が考えられます。しかし、米国の政策をめぐる不確実性と、それに伴う「ソフトランディング」シナリオの崩壊も、一役買った可能性があります。
前向きな現実の中でのソフトランディングが願われます。
今週のチャート

過去の実績や予測、予想、見込みは将来の実績を示すものではなく、また、将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。
来週を考える
全体的な市場環境を踏まえると、次のような株式と債券への戦術的な配分が考えられます。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。