コムジェスト・グループのCEO(最高経営責任者)兼CIO(最高投資責任者)に、欧州経済の見通しや成長セクターなどを聞いた。(取材日:2019年12月13日)

アルノー・コッセラ氏
コムジェスト・グループ
CEO兼CIO
アルノー・コッセラ

昨今の欧州経済をどう見るか。

コッセラ 世界経済は、過去10年でGDP(国内総生産)の平均成長率が約3%と停滞している。慢性的な低成長が国・地域を問わず、各国で同時発生しており、市場環境の見通しは今後も暗いだろう。
米中貿易摩擦や企業の生産性停滞なども影響し、高成長の見込みはないと見る。

欧州でも同様だ。企業成長に関して、サービス業を除いて厳しい状況だ。特に工業はドイツを筆頭に自動車産業の落ち込みが著しい。
各国の中央銀行は景気刺激策として、マイナス金利政策で余剰資金を投資へ回すよう企業に促しているが、低成長が続き、高成長も見通しが持てない中、企業は投資に踏み切れないのが現状だ。

今後成長が期待できるセクターや企業は何か。

コッセラ 欧州を含め先進国では高齢化による長寿化が進み、先進医療や介護への需要が高まっている。当社では1997年からデンマークのコロプラストに長期投資をしている。
コロプラストは人工肛門など特殊な医療用器具を開発し、世界で高いシェアを占める。本業を生かした自律的成長による収益は、2004年から年率7~8%を維持し、2009年のリーマン・ショック時でさえ同7%という安定感を見せている。

中国などアジア新興国の中間所得層の増加も新たな需要を生み出している。
当社が2007年から投資を行うフランスのLVMHは、ルイ・ヴィトンやディオールなどの高級ブランドを傘下に持つ。新たなニーズの増加で、今後の成長が見込めるだろう。

株式投資の銘柄選択ポイントは。

コッセラ 長期投資は高い確度でリターンを生む戦略だと考える。将来性ある技術・サービスに投資し、企業と成長を共にするパートナーシップを育むことが重要だ。
当社では欧州上場企業6000社の中から約40社を絞り込み、厳選投資を行う。

企業の人事システムなどの組織統制や環境意識などを包括的に調べることが肝心だ。それが10、20年先の財務向上に直結すると考える。