トップインタビュー 「正常化」へ向かう運用環境の下、将来課題への投資拡大を
HSBCアセットマネジメント 最高経営責任者(CEO)のニコラ・モロー氏が、3年ぶりに来日した。運用環境の展望や、生物多様性や自然資源といった“自然資本”に注目したESG(環境・社会・企業統治)投資への取り組みについてインタビューした。(取材日:2023年1月18日)
日本や中国の株式市場に注目
3年ぶりに日本に来られたと聞きました。
モロー 新型コロナウイルス感染症の拡大で、かつてのように頻繁に日本を訪れることができなくなったが、市場はこの3年間、大きく様変わりしてきた。
コロナ禍が発生した当初、サプライチェーンがほとんどストップしてしまうなど、経済活動が非常に緩慢になった。金融問題ではなく経済問題であったことが、2008年のリーマン・ショックと異なる点だろう。
足元では、そうした状況から幾分揺り戻しが見られている。経済活動の急回復が発生しており、それに伴う形でコモディティ、原油、輸送などあらゆるセクターでインフレが発生した。
インフレについては、既にピークを過ぎたと認識している。そうした中で、足元ではリセッション(景気後退)が懸念されているが、もし同局面に突入しても、おそらく1~2四半期ほどで脱出できると考えている。
このように通常化への明るい兆しが見え始めてはいるが、投資の意思決定あるいは顧客への運用アドバイスを行う上では、まだ慎重な姿勢を崩さず2024年に向けて備えたいと考えている。
HSBCが重きを置くアジア地域について、2023年の投資環境の展望は。
モロー 特に日本や中国の株式にはチャンスがあるとみている。成長余地という点では、東南アジア諸国のほうが魅力的に映るかもしれないが、それら地域の成長余地は資産価値にほぼ織り込まれてしまっていると言えるからだ。
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