知りたい!隣の企業年金・第10回 豊田自動織機──「安全」「分散」を徹底〜プライベート投資検討中の規約型年金
各地の企業年金を訪問して、年金資産運用の現状や考え方などを伺う「知りたい!隣の企業年金」。朝日新聞企業年金基金の常務理事だった私、阿部圭介がインタビューする企画の第10回は豊田自動織機を訪ねました。この連載では初めての規約型の企業年金です。経理部で年金運用を担当する河合翠(かわい・みどり)さんに、規約型ならではの苦労や工夫を聞きました。
3年後に創業100年、トヨタの「源流」
愛知県刈谷市豊田町。県立高校に隣接する3階建てのビル。大きな玄関や看板はない。連結売上高2兆7000億円、国内外の従業員数が7万人を超える大企業の「総本山」には見えない。
株式会社豊田自動織機。数々の発明で知られた豊田佐吉が1926年に「株式会社豊田自動織機製作所」として設立。7年後に設置した自動車部が1937年にトヨタ自動車工業株式会社(現・トヨタ自動車株式会社)として分離独立した。トヨタグループの開祖であり、源流の企業になる。
同社は社名が示す通り、繊維機械の製造からスタートした。その後、車両、エンジン、カーエアコン用コンプレッサーといった自動車関連事業を展開。さらに現在の主力であるフォークリフトや物流機器などの産業車両事業へと領域を拡大してきた。最近では自動車用電池も事業化し、燃料電池や自動運転の技術開発に注力している。
今回この本社で出迎えてくれたのは、経理部 財務室 株式年金グループ主任の河合翠さん。
建物の中に入ると大理石の柱などがあって重厚な造りですが、外観は質素な感じさえします。豊田佐吉翁の精神をまとめた「豊田綱領」の1節に「華美を戒め、質実剛健たるべし」とありますが、それを体現したようですね。
河合 弊社にいらっしゃるお客様の多くが「伝統を感じますね」とおっしゃいます。建築後約60年の歴史ある建物ですが、創業100年となる2026年までに建て替える計画です。
基本に忠実に。意思を持って
豊田自動織機は企業年金基金を置かず本社が直接、資産運用や給付事務などを行っている。
ここで基金型と規約型の違いを簡単にまとめてみた。
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