米10年金利が反落
ドル円相場も急激な上昇が一服
2022年は数十年来の高インフレへの対応のため、FRB(米連邦準備理事会)による急激な利上げが行われてきたが、こうした利上げも終盤にさしかかりつつあるようだ。急上昇してきた米10年金利も、2022年10月後半をピークに頭打ち感が見られてきた。
ドル円相場が一時32年ぶりの高値水準となる151円台へ到達するなど、ドルやドル円相場も米金利に合わせて大幅に上昇してきたが、米10年金利の上昇一服に伴って反落しており、急激な上昇に歯止めがかかってきた(図表1)。
ドルの名目実効為替レートの大局的な推移(ドルサイクル)については、これまで本誌2022年10月号「サイクルトップを探るドル円相場~ドルサイクルから見るドル円相場の現状と今後~」などで、米国株価指数(S&P500株価指数)を新興国株価指数(MSCI新興国株価指数:現地通貨建て)で割った株価指数比率と高い連動性があることを紹介してきた。
また、米国株価指数と新興国株価指数の上昇・下落の組み合わせとそれによる株価指数比率の方向から、ドルサイクルを局面①~⑥の6つに分類することができる(図表2)。ドル円相場に関しても、ドルサイクルの各局面における推移に一定のパターンがあることを述べた。
リスク回避のドル高局面が
高インフレで異例のパターンに
これに基づくと、2022年以降のドルサイクルは、米国株価指数よりも新興国株価指数が下落して株価指数比率が上昇する局面③(リスク回避のドル高)が続いてきた(厳密には局面③と④の境界付近を推移中)。
またドル円相場は、局面③のうちドル円相場が上昇する局面③Aにある。この局面③によるドル高サイクルは過去に何度か発生している。
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