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マクロ経済 持続的な株価・賃金上昇の機運は日銀の政策転換の兆しか
政策の後押しが価格転嫁を支援
黒田東彦日本銀行総裁が、2015年6月に童話「ピーターパン」から「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」と引用して、物価目標2%を達成する上で大切なことは前向きな姿勢の確信だと講演してから7年以上が経った2022年10月、日銀コア消費者物価インフレ率(除く生鮮食品・エネルギー)は30年ぶりに2%を超えた。
これまで物価上昇は主にエネルギーや食品に偏っていたが、新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴う国内需要の回復にも支えられ、価格上昇はサービス価格にも広がり始めている。日銀は、物価上昇は主にエネルギーを中心とした輸入物価の上昇によるもので一時的に留まるとの見方を示してきたが、物価上昇圧力の広がりでその見方が変わる可能性は高まっている。
日本では、これまで、エネルギーや輸入物価などのコスト上昇の多くを企業が収益を圧迫することで吸収してきた。そのため、コスト上昇が国内の消費者物価に与える影響は比較的軽微に留まってきた。ただ、今回はこうした企業行動が明らかに変化しつつある。
背景には、もちろんコスト上昇圧力がこれまでにないほど大きかったこともあるだろうが、政策的な後押しも無視できない。
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