ブルーベイ・アセット・マネジメントは2018年11月21日、東京都内でグローバル経済および財政、金融政策動向に関するセミナーを開催した。同社の投資適格債チーム責任者マーク・ダウディング氏による講演内容を紹介する。

セミナー
講演後の質疑応答コーナーでは、参加者からの質問が相次いだ

ダウディング氏は米国経済について、「2019年も失業率の低下、賃金とインフレ率の上昇が見込まれ、強気な景況感が続くだろう。FRB(米連邦準備理事会)は利上げを継続し、ボラティリティの高い状況が維持されそうだ」と解説した。

合意なしのEU(欧州連合)離脱が危ぶまれる英国のポンドには今後、圧力がかかると見通したうえで、「離脱自体が中止になる可能性もある。いずれにせよ、米国金利と英国金利には今後の上昇を見込んだ投資機会があるだろう」と指摘した。

米利上げに伴うドル資金の逆流で打撃を受けているエマージングマーケットについては、「2019年のファンダメンタルズの良し悪しは、海外からどれだけ資本が流入するかにかかっている。為替が安くなったことで投資対象資産としての魅力は増しており、2018年ほどの苦戦を強いられることはないだろう」と説明。上昇・下落の両方向の投資機会があると語った。

また、イタリアやギリシャなど南欧にも投資妙味があるという。イタリアの財政問題は、「そもそも過大視されすぎている。イタリア国債の価格にはすでに悪材料が織り込まれており、現在、欧州のハイイールド債と同程度のバリュエーションだ。中長期的に見て今は割安といえる」(ダウディング氏)。加えて欧州劣後債の魅力にも触れ、「特に金融セクターでは安全性が増しており、割安な状態。エクイティに投資するのと同程度のリターンを、より少ないボラティリティで得られる」と続けた。

最後に債券市場全体に対しては、「米利上げの逆風は持続するものの、2019年は2018年よりも良い1年になるだろう。債券市場は2016年に長期にわたる上昇相場が終わったことで、今後はベータよりもアルファ創出機会がけん引すると見ている。ボラティリティがある限りそこには必ずチャンスがあり、悲観的になる必要はない」と締めくくった。