世界的なインフレ・金利上昇・地政学リスクの高まりのなか、欧米以外の5つの注目国の経済はどのような可能性と課題を抱えているのか。JBIC(国際協力銀行)の現地駐在員に聞いた(記事内容は2022年6月2日現在)。

鈴木 竜太氏と宮崎桃衣氏
国際協力銀行
イスタンブール駐在員事務所
首席駐在員 鈴木 竜太氏(左)
駐在員 宮崎 桃衣氏(右)

足元のトルコの経済・金融について。

2022年3月時点で、通貨リラは米ドルに対し1年間で4割超下落し、消費者物価上昇率は70%に達した。

しかし、2018年のリラ・ショックで多くの国民や企業は経済混乱の“免疫”を獲得した模様。「国内が厳しいなら海外で稼ぐ」と割り切っている印象も受ける。

では、海外で稼ぐ注目産業・セクターは。

2021年の名目GDP(国内総生産)の業種別構成を見ると、産業構造が多層的であることが分かる(図表)。伝統的な観光や軽工業に加え、重工業も発展し、経済の足腰は強固と言える。

【図表】名目GDPの業種別構成(2021年)
名目GDPの業種別構成(2021年)
出所:トルコ統計局(TUIK)データを基にJBIC作成

製造業の代表格が自動車産業で、近年はEV(電気自動車)関連に取り組むメーカーが増えている。米フォードと地元メーカーのオトサンの合弁企業が開発するEV車は、生産(工程)の7割をトルコ国内で行い、完成車の9割を輸出している。EVチャージャー(充電器)を欧州で販売したり、中央アジアでCNG(圧縮天然ガス)やEVバスの販路拡大を進めるメーカーもある。

建設関連の企業も積極的に海外進出している。トルコのゼネコンは巧みなプロジェクトマネジメントと高い品質に定評があり、周辺国を中心に大規模インフラ整備を手がける。

輸出先はやはり欧州が中心か。

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