歴史的高値圏へ上昇したドル。ドルサイクルもドル高を示唆
ドルは2022年以降も大局的に底堅い推移が続いてきた。新興国通貨も含むブロードベースのドルの名目実効為替レートは、2022年5月には一時2020年5月以来の水準まで上昇し、歴史的なドル高水準へ到達した。予想外のインフレ圧力を受けたFRB(米連邦準備理事会)のタカ派スタンスへの急速なシフトによる米金利の上昇がその背景にあるが、当方がこれまで紹介してきたドルサイクルから想定される動きとも引き続き整合的となっている。
本誌2021年10月号「ドルは当面強含み推移を継続へ~ドルサイクルから考えるドル相場の見通し」などでは、ドルの名目実効為替レートのサイクル(ドルサイクル)が、米株価指数(S&P500株価指数)を新興国株価指数(MSCI新興国株価指数;現地通貨建て)で割った株価指数比率と高い連動性があることを紹介した。米株価指数と世界景気の動向を敏感に反映しやすい新興国株価指数のどちらが相対的にアウトパフォームしているかが、米国をめぐる国際的な資本フローの動きの代理変数となっており、ドルの動きにも反映されやすいためだ。
また、米株価指数と新興国株価指数の上昇・下落の組み合わせから、ドルサイクルを局面①~⑥までの6つに分類することができ、ドルの動きの背景と先行き予想に利用できることを述べた(図表1)。
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