知りたい! 隣の企業年金・第2回 日本高速道路企業年金基金──コロナでも資産大幅入れ替え〜基金を志望、勤務3度目
企業年金を担う人々の素顔に迫る新企画「知りたい! 隣の企業年金」。朝日新聞企業年金基金の常務理事を務めていた阿部圭介氏が、常務理事や運用執行理事など資産運用を担う方々にインタビューしていきます。第2回は、日本高速道路企業年金基金の荻原勉常務理事・運用執行理事にお話をうかがいます。
当初は「5:3:3:2規制」
志望して母体の道路公団から基金に移られたとか。
荻原 ええ。入社9年目の1995年7月に前身の建設関係公団厚生年金基金に裁定係長として着任しました。道路公団はいい会社だったのですが、独特の狭い業界でした。
大学時代の友人たちと話していて、一般企業はもっとダイナミックな動きをしている。「もっと汎用性のある業務経験をしたい」というのが動機でした。
当時の基金は、資産運用などどういった状況だったのですか。
荻原 直接運用に携わったわけではありませんが、当時はいわゆる「5:3:3:2規制」という国の運用規制がありました。国内債券などが5割以上、国内株式が3割以下、外貨建て資産が3割以下、不動産が2割以下――という縛りががっちりかかっていて、基金独自の運用はほぼ皆無だったと記憶しています。信託銀行が6、生命保険会社が4の割合で資産運用は「お任せ」。それでも年間利回り5%以上で回っていた時代です。
代行返上してまもなくの常務理事就任。相当大変だったのでは、と想像します。
荻原 本当に大変でした。代行返上と構成事業所の変更で、1600億円程度あった資産が400億円ほどに大幅に減少しました。おまけに代行返上時に資産をすべて清算・キャッシュ化して、アベノミクスのタイミングで徐々に投資を開始したので、株価上昇の恩恵はほとんど受けられませんでした。
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