インフレ圧力、スタグフレーション懸念、地政学リスク、エネルギー価格急騰など運用環境の変数はますます増えている。そこで注目を集めるのが、不動産やインフラ、プライベートデットに代表される「イールドアセット」だ。有識者に、政策金利の見通しを踏まえた有望な資産と活用する上でのポイントを聞いた。(記事内容は2022年3月7日現在)

複数のテールリスクが浮上。債券と株式双方にネガティブな環境が到来

市場関係者の間では、米欧の政策金利はインフレ圧力を受け上昇する見方が多い。そんななか、2月下旬にロシアがウクライナに侵攻。直後の米債券市場では「質への逃避」で国債が買われ、主要国・地域の長期金利も低下(債券価格は上昇)傾向を強めた。

原田 哲志氏
ニッセイ基礎研究所
金融研究部
准主任研究員
原田 哲志氏

「FRB(米連邦準備理事会)は、従来のような強気の金利上昇スタンスは影を潜め、インフレ率や失業率などの各種経済指標を勘案しながら必要に応じて粛々と利上げしていく姿勢を維持していくのではないか。ECB(欧州中央銀行)は、2022年10月に利上げに踏み切ると言われていたが、ウクライナ情勢の混迷を踏まえると2023年以降に後ろ倒しすると思われる。とはいえ、原油や天然ガスの価格上昇を背景としたインフレ圧力は継続するため、スタグフレーション(インフレと物価上昇の同時進行)回避の難しい舵取りを迫られる。日本の金利政策は、2023年4月の黒田東彦総裁の任期満了をにらんだ神経質な展開になりそうだ。後継者は前任者と異なる施策を打ち出すケースが少なくない。米国の金利上昇の影響もあり足元の超長期債の利回りは上昇している。日銀の政策金利引き上げに関する思惑から、投資家による日本国債への売り圧力が強まっている」(ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員の原田哲志氏)

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