前回よりも深まる長期金利のコナンドラム(謎)

瀬良 礼子
三井住友信託銀行
フェロー役員
マーケット・ストラテジスト
瀬良 礼子

近年、世界的に金利が大幅低下しているもとで、イールド・ハンティングの動きが顕著だが、ここに来て最上級格付けの国債を有する米国で利上げ期待が高まっている。そのため、米長期国債購入チャンスとなる利回り水準を見極めることは重要である。

ところで、2004~2006年の利上げ局面で長期金利が上昇せず極めて低位な水準で推移したことを「コナンドラム(謎)」と呼んだのは、当時のFRB(米連邦準備理事会)議長グリーンスパン氏だった。2005年2月の議会における半期金融政策報告の場での発言である。

当時と似たような現象が足もとでも発生している。2021年9月のFOMC(連邦公開市場委員会)メンバーのFF(フェデラルファンド)金利予想で2022年での利上げが示されて以降、利上げ前倒し観測が強まる傾向となっているが、米長期金利が上昇する動きはかなり限定されている。2022年に入り、10年国債利回りは2021年3月につけた1.77%をようやく上回ったものの、2021年11月以降のテーパリング下においては1.3%台へ低下する場面もあった。

2004~2006年のコナンドラムは利上げ局面で発生したが、足もとでは利上げ開始前の期待が高まる局面の現象である。前回よりも謎は深まったと言えるだろう。

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