米国長期金利変動バイオリズム、5つの論点

高田 創
岡三証券
グローバル・リサーチ・センター
理事長
高田 創

2021年から2022年にかけて筆者の抱く米国長期金利の展望は、以下の5点である。第1に、すでに金利は上昇局面に入った。第2に、米国金融政策の出口に向かう思惑や実際の政策対応により金利上昇が断続的に生じる。第3に、断続的に金利上昇が生じても、内外の投資家による実需圧力で金利低下が生じる。第4に、2021年を通じて金利上昇・下落のジグザグを繰り返しながら金利は上昇トレンドに。第5に、今次、金利上昇局面における金利の天井は前回サイクルの3%超えに比べて低く、2%台半ばに止まるとするものだ。

金利はすでに上昇局面にあるものの、以上の変動を繰り返すジグザグ相場が見込まれる。一方、日欧中心に「金利水没」における「運用難民」が米国債にすがる「実需」から、当初、米国市場で議論されたほどに金利は上がりにくいだろう。

米国金融政策の思惑で生じる金利上昇

昨年2020年に0.5%のボトムを付けた後の金利上昇は、米国金融政策に対する思惑転換が市場参加者のポジション調整をもたらしたことによる。昨年末まで、米国では「緩和しかありえない」といった歪な期待分布が、その後、緩和一辺倒ではなく、正常化ないしは出口もあり得ると意識されたことで大きなポジション調整が起こった。

さらに、2021年前半にかけ金融政策の出口方向への180度の転換、金利上昇局面における最も大きな転換が生じた。2021年11月3日にFRB(米連邦準備理事会)が出口に向けたテーパリング(量的緩和の縮小)を決定し、さらに2022年に向けた利上げ観測の現実化に伴い金利上昇圧力が加わると見られる。資源価格上昇も含めたインフレ観測も金融政策の出口への思惑を加速させる。

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