エネルギー価格高騰の2つの要因
エネルギー価格が高騰している。主要地域の一般炭価格(図表1)を見ると、2021年3月あたりから堅調に価格が上昇していることがわかる。同じく、天然ガス/LNG価格も猛烈に価格が上昇してきたことが見て取れよう(図表2)。
こうした事態を打開しようと、2021年10月18日、日本政府はIEA(国際エネルギー機関)と連携し、産油国に原油の増産を要請したとの報道がなされたが、原油のみならず、さまざまな資源価格が高騰している。
【図表1】一般炭価格推移(2021年1月~直近)
【図表2】LNG/天然ガス価格推移(2021年1月~直近)
この背景には循環要因と構造要因が複雑に絡み合っていると考えられる。コロナ禍の落ち込みからの需要の急回復、不順な天候や各地で起きた災害という循環的に起こりうる“循環要因”と、脱炭素化の流れは確かなものがあるにせよ、再生可能エネルギーの供給は不安定であり、エネルギー転換期にあってガス依存が急拡大するも、いきなりガスを増やすこともできない、といった“構造要因”である。
これらが複合的に作用し、エネルギー価格を上げている。これだけの価格高騰が仮に長続きするようなら、クレジット市場に影響が出る。注意が必要になってくると考えられるため、今回のテーマとして取り上げた。
世界同時に起きたエネルギー危機。このエネルギー価格高騰の背景は循環要因と構造要因の組み合わせだと説明したばかりだが、直接的な原因は各国で異なる。この辺りから見ていく。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。