プライベート・ローンやダイレクト・レンディングなどのプライベート・クレジット投資の存在感が高まっている。機関投資家に注目されている理由や投資のポイントなど、ベアリングスでグローバル・プライベート・クレジット投資を担当するマーク・フレスナー氏に聞いた。

マーク・フレスナー氏
ベアリングス
マネジング・ダイレクター
グローバル・プライベート・ファイナンス・グループ
北米プライベート・ファイナンス投資委員会メンバー
マーク・フレスナー

プライベート・クレジット投資に注目する機関投資家が増えている。

フレスナー すでにプライベート・クレジット投資を行っている機関投資家の4割は、さらに投資比率を引き上げようとしている。PEスポンサーのドライパウダー(投資待機資金)も積み上がっていることから、プライベート・クレジット投資およびそのファイナンス需要は強いと思われる。日本の機関投資家からの問い合わせも増えている。

投資魅力はどこか。

フレスナー 世界的な低金利によって投資先が狭まるなか、安定的に7~8%のリターンが得られるところが評価されている。分散投資先の1つとして考える機関投資家も多い。

バンクローンよりも小規模の企業が投資対象になるが、負債構造上の安定性から相対的にデフォルト率が低く、回収率に優れている点がプライベート・クレジット投資の魅力になる。バンクローンと同様にコベナンツ(制約条項)があり、経営側からリアルタイムで情報が入ってきやすい点も大きなメリットだ。未上場企業への資金供給者の1つであるBDC(ビジネス・デベロップメント・カンパニー)に勢いがあった13年、14年頃に比べてスプレッドが50bp程度ワイドニングしており、投資タイミングも良好といえる。

投資を検討するうえでのポイントは。

フレスナー プライベート・クレジットのマネージャーには、案件を発掘し組成する能力のほか、企業と投資家の間に立つアレンジャーとしての能力が欠かせない。主要取引先であるPEスポンサーとのネットワークや、投資先企業をモニタリングする体制が充実していることも重要になる。

ベアリングスのプライベート・クレジット戦略の優位性は?

フレスナー 4つある。1つ目は親会社であるマスミューチュアルがプライベート・クレジット市場の創成期から投資家の一角を担ってきたこと。これほど長い投資経験があるところはないのではないか。2つ目は、マスミューチュアルの資金も運用しているので、顧客である機関投資家と利害が一致していること。3つ目は、プライベート・クレジットの世界はグローバル化が進んでいるが、我々は欧州やアジアなどの主要市場にもネットワークを持っていることが挙げられる。最後は、シニアやメザニンなど負債構造上のあらゆる部分をカバーしていることだ。負債構造上のどの部分に投資機会があるのか判断することができる。