米国の保険大手プルデンシャル・ファイナンシャルの運用部門として、世界で約1.2兆ドル(約109億円)の資産を運用するPGIMは、日本でも伝統的資産からオルタナティブ資産まで幅広い運用戦略を提供している。プレジデント アンド チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのデイビッド・ハント氏に、運用会社としての特徴や年金基金など機関投資家の注目度が高い資産のほか、今後の運用ビジネスのポイントを聞いた。(柴田哲也)
※記事中のデータは記載がない限り2018年末現在

デイビッド・ハント氏
PGIM
プレジデント アンド チーフ・エグゼクティブ・オフィサー
デイビッド・ハント

「パブリック」「プライベート」 双方の資産クラスをカバー

運用会社としての特徴は。

デイビッド 地域やリスクが異なる幅広い資産クラスをカバーしている点だ (図表1)。今日の運用業界には2つの潮流がある。一つは、株式や債券など流動性の高い伝統的資産で成長してきた運用会社。もう一つが、プライベート・エクイティやプライベート・デットなど未上場の低流動性資産を得意とする運用会社だ。

我々は、分散投資で長期運用を目指す保険会社の運用部門であることから、伝統的資産と非伝統的資産双方を提供している。とくにパブリック債券の関連戦略の運用資産残高は世界で4番目に大きい。

■図表1 PGIMの運用戦略ラインアップ
PGIMの運用戦略ラインアップ

日本市場での事業拡大に力を入れている。

デイビッド PGIMジャパンの前身は1988年設立で、2019年3月末の運用資産残高は21兆8814億円(図表2)。近年はグループ外顧客の運用資産残高が増え、足元では6兆2800億円にのぼる。公的年金をはじめ幅広い機関投資家と取引があり、企業年金基金からの相談も多い。

■図表2 PGIMジャパンの運用資産残高の推移(2019年3月末現在)
PGIMジャパンの運用資産残高の推移

機関投資家に人気の資産は。

デイビッド イールドを求める傾向は世界共通だが、日本の年金基金の意欲はとりわけ強いと感じる。多くの年金基金は長年、日本国債中心のポートフォリオで運用してきたが、歴史的な低金利環境を受けて6~7年前から米国社債やユーロ債など海外債券のウエートを高めた。

しかし、米国の利上げなどの影響で2017年頃から為替ヘッジコストが上昇し、コスト支払い後はイールドがほとんど無くなる事態になった。近年は、為替ヘッジコストを支払った後でも目標イールドが達成できるような期待利回りが相対的に高めの運用戦略、具体的には、プライベート・デットやインフラストラクチャー、不動産、エマージングマーケット債、ストラクチャードプロダクツなどの証券化商品に関する問い合わせが増えている。