経済の成熟化がもたらした成長減速
2020年以降、中国の経済成長率は新型コロナによるパンデミックで上下に大幅に振幅し、その影響を除いた本来の成長率が見えにくくなっている。だが、前年比で見たときにパンデミックの影響がかなり薄れている7~8月の経済指標は強い数字とは言いがたい。今年7~8月の小売売上高や鉱工業生産の前年比伸び率は鈍化しており、中国経済本来の成長率は長期的に減速基調が続く見込みだ。中国の名目GDP(国内総生産)は2000年から2020年の20年間で10倍に膨らんだため、成長率が減速するのは経済が成熟したことの証だろう。
しかし、世界第2位の経済大国となった中国の成長減速が過度に下振れると、世界経済全体に相応の影響を与えてしまう。2021年9月に中国恒大集団の債務不履行懸念が高まったことで、先進国の株価が下落したのがその証左だろう。緩やかな減速軌道にある中国経済は、人口動態という大きな試練に直面している。
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