米国債の利回り上昇やこれまで堅調だった金価格の下落など、2021年に入って世界の運用環境は変化の岐路に立っている。こうした中、長期で着実なリターンの獲得を狙う年金基金はどのように運用を考えていくべきだろうか。連載「年金基金への提言」第3回では、かつて大阪ガスで企業年金運用に携わり、現在は年金ガバナンスのアドバイザリー業務を行っているシステム2の石田英和代表に、年金運用業界を活気づけるヒントについて聞いた。
弱気派席巻の転換は「開示」がカギ
2021年2月15日、「日経平均株価3万円」の文字がニュースのトップに踊った。十数年間にわたり上昇を続けてきた国内株式は、この日ついに30年半ぶりの高値を記録した。
そんな株式市場の盛況のさなか、年金基金のポートフォリオにおける株式比率の推移を苦々しく見つめていたのは、年金向けアドバイザリー業務を手掛ける石田英和氏だ。
「市況が悪い時期に弱気派の意見が大きくなるのは理解できる。だが株式市場が好調に上昇する中でも、多くの年金基金は株式保有を減らし続け、現在その比率は25%程度しかない」。石田氏はリスク回避の行き過ぎを指摘する。
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