12月分・速報値は先行CI・一致CI とも前月差下降

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント
理事 チーフエコノミスト
宅森 昭吉

2020年12月分の景気動向指数・速報値では、先行CI(コンポジット・インデックス)が前月差マイナス1.2と7カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の3系列が前月差プラス寄与度に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDI(ディフュージョン・インデックス)の6系列が前月差マイナス寄与度になった。

景気動向指数
(出所)内閣府

2021年2月25日発表予定の12月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わるが上方修正要因になろう。また逆サイクルの最終需要財在庫率指数と鉱工業生産財在庫率指数は、確報値段階でどちらも0.1ポイントずつ指数が変化した。前者が上方修正要因、後者が下方修正要因と僅かに変動要因になろう。総合的に判断すると、12月分改定値で先行CI は上方修正になりそうだ。

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12月分速報値で、一致CIは前月差マイナス1.2と2カ月連続の下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・卸売業、1系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度マイナス、有効求人倍率、1系列が前月差寄与度マイナス0.00になった。

12月分改訂値で、一致CIには所定外労働時間指数が新たに加わる。12月分速報値でみると上方修正要因になる。確報値の発表日は2021年2月24日で、25日発表の景気動向指数・改訂値では確報値が使われる。また、生産指数関連と商業動態統計関連データで速報値から確報値が上方修正されたのは、生産指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業で、逆に下方修正されたのは、耐久消費財出荷指数と商業販売額指数・卸売業である。生産指数は0.6ポイントと大きく上方修正されたが、残りの系列はわずかな変化にとどまった。

12月速報値段階では、一致CIの3カ月後方移動平均は前月差プラス1.00ポイント上昇し、6カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は前月差プラス2.30ポイント上昇し、3カ月連続の上昇になった。

基調判断上方修正は、2020年5月頃を谷とする景気拡張継続示唆

「下げ止まり」から事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「上方への局面変化」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7カ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分以上振幅目安のプラス0.76以上、になることが必要だ。

最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、2019年8月分~2020年7月分は「悪化」の判断だったが、景気の基調判断は8月分で2019年5月分~7月分以来13カ月ぶりの「下げ止まり」に上方修正された。9月分に続き10月分でも「下げ止まり」で据え置きになった。10月分の前月差は上昇したが、7カ月後方移動平均の前月差が小幅の上昇にとどまったからだ。上方修正の可能性が期待された11月分では一致CIが前月差わずかな下降になってしまい、12月分も下降だった。一方、11月分・12月分では7カ月後方移動平均の前月差の振幅は大きく条件を満たしていた。

2021年3月8日発表の1月分速報値でも、7カ月後方移動平均の前月差の振幅は大きく条件を満たすと予測される。注目点は一致CIの前月差が+0.1上昇するかどうかだ。

2月26日に発表される1月分の生産指数は前月差でかなりの上昇が見込まれる。関連指標の製造工業予測指数は電子部品・デバイス工業などが寄与し前月比プラス8.9%の大幅上昇の見込みである。

過去のパターンなどで製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値をみると、1月分の前月比は先行き試算値最頻値でプラス4.4%になる見込みである。90%の確率に収まる範囲はプラス2.7%~プラス6.1%の上昇になっている。1月は11都府県に緊急事態宣言が再発令された月だが、生産関連の指標が多く採用されている一致CIは、製造工業生産予測指数からみて生産指数の前月差上昇が見込まれるため、前月差が上昇に戻る可能性が大きいだろう。

もっとも、前年同月比でみる商業販売額指数・小売業などは減少率が拡大する可能性が大きいとみられ、2月26日に発表される1月分のデータから目が離せない。

1月分速報値で一致CIの前月差が上昇するか、要注目である。基調判断の上方修正は、足元の景気は新型コロナウイルス感染拡大の影響で悪化しているものの、それ以外の大きな悪化要因はないこと、ワクチン接種などの対応策が奏功すれば2020年5月頃を谷とする景気拡張局面が継続していくことを示唆することになろう。