日興アセットマネジメント 一番の注目国は改革に積極的なインド。運用力とサポート力を投資家に示す
日興アセットマネジメントは2015年9月8日、「FOREWORD2015」をシンガポールのホテルで開催した。3回目となる今回は「INVESTING IN A POLITICALLY VOLATILE WORLD(地政学的リスクが高まる世界の投資環境)」のテーマに基づき、混迷を深める世界情勢の行方などについて各スピーカーが見解を述べた。
同イベントは、日興アセットのハウスビューを機関投資家と共有する機会として2013年より開催している。今回はシンガポールを中心にアジアの機関投資家およそ100名が参加し、リスク分析や運用の専門家らによる基調講演やパネルディスカッションに耳を傾けた。
冒頭の基調講演には、国際情勢リスクを分析するコンサルティング会社、ユーラシア・グループで新興国市場戦略を統括するアレックス・カザン氏が登壇。政治的なリスク要因を踏まえたうえで、「我々が一番注目しているのがインドだ。(農作物の最低支持価格の抑制などの)政治的な改革にも積極的に着手している。新興国のなかでインドほどポジティブに成長している国はないだろう」との考えを語った。
日興アセット アジア地域(日本を除く)ヘッドであるエレノア・シート氏は、今回のイベントを振り返って「多様なアセットクラスにまたがる当社の運用力と、その背後にあるサポート力をあますことなく示すことができた」と手応えを感じている。
これからの意気込みとしては、「市場のボラティリティや不確実性が高止まりしているなか、今後も引き続き差別化された価値を提供していきたい」と語った。
難易度増すアセットアロケーション、3つのアプローチで下方リスクを抑制
さまざまな資産を投資対象にして、市場環境に合わせてアロケーションを変更する「マルチアセット戦略」が引き続き機関投資家の関心を集めている。「FOREWORD2015」のパネルディスカッションに出演したアル・クラーク氏に、日興アセットマネジメントのマルチアセット戦略の強みなどを聞いた。
マルチアセット戦略の存在感が増している。
クラーク 直近は各国中央銀行の緩和マネーを原動力にした株高で、どの株式に投資してもそれほど問題はなかった。しかし、米国が利上げに踏み切れば、どの資産に投資すれば好ましいのか難しい判断を下さなければならない。アセットアロケーションの難易度が上がっていることが、マルチアセット戦略の注目度を高めている。とくにリーマン・ショック以降、アセットアロケーションの難しさが広く認識されるようになった。マルチアセット戦略への投資は過去10年増え続けており、今後も伸びていくだろう。
クラーク氏が運用するマルチアセット戦略の強みとは。
クラーク 「経験豊富な運用チーム」と「洗練されたダウンサイドリスクの抑制手法」になる。まず19名からなる運用チームは、アセットアロケーション業務に長年携わってきたメンバーばかりだ。各地の運用プロフェッショナルから寄せられた情報をもとに、アセットアロケーションを決定する。
また、当戦略ではダウンサイドリスクを抑えるために3層のアプローチを取り入れている。具体的には①割高なアセットへの投資を回避するよう投資プロセス全体を設計し、②価格変動の異なるアセットを組み込み、想定される主要リスクに対して逆相関や低相関となるポジションをとる。そして③「テールリスク・マネジメント」で、市況が大きく下落しそうな局面では機動的にヘッジ取引などの対応をとる、といった能動的で多層的なアプローチだ。
ユーラシア・グループの指標を運用に活用している。
クラーク ユーラシア・グループでは、「政府」「社会」「安全保障」「経済」という4つの要素に基づいてグローバル・ポリティカル・リスク・インデックス(GPRI)という独自の政治リスク指標を算出している。GPRIのスコアを我々の投資プロセスに取り込み、ダウンサイドリスクの軽減を図っている。
お詫びと訂正
J‐MONEY2015年秋号の6ページに掲載された日興アセットマネジメントの記事に誤りがありました。
(×)日興アセットマネジメント アジアリミテッド、取締役社長のエレノア・シート氏
(○)日興アセット アジア地域(日本を除く)ヘッド エレノア・シート氏
同記事の正しい内容は上記の通りです。読者の皆さまならびに関係各位に深くお詫び申し上げるとともに、ここに訂正させていただきます。